2005/11/08

10月2日LOFTイベントのライブレポ

ステージにあるキーボードと譜面台が『いつもと違う』と教えてくれる。

いつも通りのSEでいつも通り出てきたメンバーの中に、新しい顔。

サポートキーボードの窪田渡さん。メガネ。


一発目から『朝焼けの旅路』で客席を鷲掴んで沸点まで引き上げる。

続いた『ワンダ』で完全に空気を自分達のものにした。いつもより強引なその握力は

ここ最近のライブイベントはトリが多くて、自分達目当ての客が多いゆえのやりやすさに慣れた彼等が

久々にいわば『アウェー』なライブに立ったという自覚と気合の表れなんだろう。

ペース配分とか、そういう『慣れの余裕』は一切なく、3曲目の『愛のうた』まで一息で走り抜けるような勢い。

特に『ワンダ』はその音の厚さと迫力に圧倒された。小細工無用、生身でぶつかってくるこのバンドの強さは

たった2曲で客席の後ろまで届いたはずだ。


メンバー紹介をはさんで『さよならヒーロー』へ。

この『さよならヒーロー』から『シャラララ』の流れは本当にいつも凄いと思う。

(さらに『ワンダ』がこの後に入るセットリストだともう飛べる)

シングルの流れそのままやって爆発的に盛り上がれるって、もう音とライブが完全に密接してて

彼等はたとえ狭いスタジオの中にいても物凄く広がりの持った音をイメージすることができるんだなあと。

『さよならヒーロー』というシングルのクオリティの高さは、ライブを経験して新しいステップに

入ったという事実以上のものをリスナーに示している。


そして『夜と風と』。「Hey Love!」というシンプルな客との掛け合いは

音楽が一方通行ではないということを、彼等のステージはステージの上だけで完結するものでは

決してないということを告げている。彼等はライブをステージの上で自己満足だけで完結させたりしない。

絶対に客を置いていかない。どれほど盛り上がっても勝手に飛ばしてどっかいったりしない。

地に足のついたバンドだ。客の足元に続いてる地面に足のついてるバンド。

爆発するほどドラマチックな展開のない曲なのにライブの定番で、本当に気持ちいいこの曲は

いつもいつも笑顔で一緒に歌ってしまうのだが、その次の曲で手を振り上げることさえ忘れて立ち尽くした。


『虹色の影』だ。Jackson vibeのデビュー曲。まだ、ライブを経験してないときの曲。

初めてライブで聴いたその曲は、CDで散々聴いていたにも関わらず、全く新しい曲にさえ聴こえた。

この曲は、こんなに激しい曲だったのか。

カップリングの『風』がハードな曲だし、そこまで速いテンポでもなく割と平坦なイメージのこの曲には

激しいという印象は全く持っていなかった。

なのにこの激しさはなんだ。

音の厚さやバンドのタフさは数度のライブでもよくわかっていたつもりだった。

だけど、デビューからたった2年でこんなになるものなのか。

ライブを知らないまま産み落とされた曲が、ライブというものを知って、吸収して生まれ変わった。

全く別の曲のような、それほどのインパクトがこの日の演奏にはあった。

グローバーの声の厚さや熱はもちろん、バックの音の厚さに圧倒された。

迫ってくるような迫力があって、ただただ目の前で圧倒されていた。

鳥肌が立った。凄いものを見たと思った。感動に消化しきれない熱が胸を燻った。


ただただステージを見つめている私に、ドラムがリズムを刻むのが聴こえた。

ゆったりとしたベースラインにグローバーがやさしく唄い始める。

彼等のライブを『終わらせる』曲、『Walk down a bridge』。

低音をやさしく響かせるグローバー。1stのときよりもずっとこの曲の始まりが優しくなった。

最後の『前へ 前へ』という部分の爆発のさせ方がまた派手になったと思った。

最後だから、少し疲れた腕を迷いなく挙げる。

静かな曲の終わりに、ライブの終わりを実感する。ちゃんと残さずに遣りきったと思う。

いつもちゃんと燃焼しきってくれる彼等のライブで物足りなさを感じたことはない。

もっと聴いていたいと思うのはいつもだけれど、その限られた時間を薄いと思ったことはない。

いつだって物凄い密度で、濃密なステージを見せてくれる。


強いて言うならば、サポの窪田くんが若干固かったか。まだ柔軟性がないというか余裕がそこまでない。

ただ、ツアーでももし回ってくれるんだったら凄く強力なサポになるだろうと思った。

分厚いリズムたいの上にもうひとつ音色が乗ったら本当にあたたかくなったから。


彼等が経験した沢山のライブが血となり肉となり、デビュー曲に新しい命を注いだ。

面白いほどにわかりやすく物凄いスピードで成長しているJackson vibeというバンドは、

次のライブではまた新しい風を吹かせるんだと思った。



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